信州葡萄酒事情>session2 : シェフ藤木徳彦のワイナリー探訪 信濃ワイン篇 / ワイナリーの紹介 / マリアージュ T | |
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マリアージュ T 〜 キッシュ & シャルドネ 〜 |
Shinshu Wine Stories |
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(塩原)普段はワインを飲むにしても、つまみは夕飯のおかずの余りもの。合わせることを考えて料理を用意すると、違うねえ。 (社長)ワインを料理に合わせて選ぶということは、日本ではなかなか一般に浸透していないんですよね。 (鮎澤)日本の家庭料理にワインをぴったりと合わせるのも難しいですよね。 (社長)そうですね、元々ワインを飲む習慣が生活の中にないものだから、ハードルが高いですよね。日本では全ての酒類に占めるワインの消費量はわずか3パーセント。飲む人は飲むが、飲まない人はそれ以上に多いということですね。ワイン普及のためのピーアールをもっとしなければいけませんね。 (茅野)安い輸入ワインの存在の影響はどうなんですか? (社長)あれは怖いです。安いうえにそこそこ美味しいのですから。これはワインだけでなく農業全般に言えることですが、日本は集約農業という形態。広い国土で大規模にやっている国には太刀打ちできません。 (藤木)県の職員を前に言うのも何ですが、原産地呼称制度を進めているものの、トータルの食文化としてではなく、ワインばかりが先行している気がします。さっきの塩原さんのお話のように、じゃあ家庭でワインを飲むかと言えば飲まない。例えば観光客が塩尻の駅に降り立って、桔梗ヶ原のワインを飲むところがあるかと言ったら、答えはNo。日本酒にしても、町の飲食店に置いてあるのは新潟の酒だったり。その辺りから変えないと、地産地消はおろか、地域の食文化としても地元の酒は根付きません。目標は、家庭で地元のワインが普通に飲まれるようになることですよね。 (会長)そうそう。そうでなければ、全体のワインの消費量は増えないね。 (藤木)桔梗ヶ原のワインが東京のどこどこのレストランで使われているとか、誰か有名な人が使っているというのも、それはそれで励みになりますが、やっぱり地域で浸透していないと。変な話、塩尻のあそこの交差点(高出交差点)のロイヤルホストで塩尻のワインが出ていたっていいと思うんですよ。地元で認識されていないものが、いくら遠くで評価されていても実感は湧かないんじゃないでしょうか。その点ではフランスはすごいですよ。例えば旅行で地方のレストランに行ってメニューを見ていると、そこの地域のワインを勧めてきます。他の地方のページなんかを見ようとすると、「ダメだ。せっかく日本から来たなら、ここのワインとここの料理を食べろ」と押してきます。塩尻でもそれくらい胸を張って地域のものを勧められるようになってもらいたいものです。 (会長)私は料理のことはよくわからないが、このキッシュはシャルドネにとても合うね。ワインがすすむよ。 (藤木)じゃあ、ワインの消費拡大につながりますね。 (会長)ここ最近、塩尻ならではのコンコードやナイヤガラのワインの消費量は低迷していて、シャルドネやメルローは増えています。特にメルローは品評会でも世界レベルだと言われていて、それはひとえに農家の人たちが高品質のブドウを作ってくれているからだと思います。だけど、ワインだけが表に出てしまっていて、料理が付いて行ってない。今日みたいに料理と合わせるという経験をしなければ、本当の旨さはわからないんだよね。それを理解する人が増えれば、ワインも普及してくると思います。
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